森林総合研究所研究報告
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徳島県「大里松原」海岸林におけるクスノキ成木の30 年間の肥大成長過程—隣接個体と気象条件の影響—
大谷 達也
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2023 年 22 巻 2 号 p. 83-88

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抄録

海岸林に植栽された広葉樹の長期にわたる成長過程を解明するため、徳島県海陽町の大里松原において高潮で枯れ伐倒処理されたクスノキ8本の年輪解析をおこなった。地上高0.3 mで円盤を採取し東西南北4方向の毎年の年輪幅を測定した。31年から37年の年輪を数えることができ、年輪幅の個体ごとの平均値は5.5 ± 2.6 mmから12.0 ± 4.6 mm、全体の平均値は9.4 ± 4.1 mmであった (±sd)。地上高0.3 mと胸高の直径の比率から、8本のクスノキは30年間で胸高直径47.3 ± 9.6 cmに達したと推定された。これらのクスノキは最近隣個体までの距離が平均5.2 mと疎な環境で生育したため、旺盛な肥大成長を示したと考えられた。

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