2025 年 28 巻 p. 23-34
本研究は,中国の西部大開発戦略における政策的特徴とその変遷を,テキストマイニングにより明らかにすることを目的とする。2000年から2023年までの中央および地方政府の1466件の政策文書に頻度分析,共起ネットワーク分析,潜在的ディリクレ配分法を適用した。その結果,第1段階(2000–04年)はインフラ整備や経済発展を中心に,企業優遇策や対外開放が目立った。第2段階(2005–09年)は地域間連携や制度改革,社会主義理念の推進といった制度面の整備が重視された。第3段階(2010–23年)では人的資源の育成や公共サービスの充実などソフト面の整備が進み,デジタル経済の推進,新産業の育成,制度化された環境保護政策や国際的連携の強化など,従来の定性分析では見落とされがちな要素が明らかとなった。全期間を通じて経済発展と並行して政治的安定や国家統合の維持が一貫して存在していた。今後の課題は世論や社会的反応の把握,政策重点と達成状況の検証,HDP–LDAによる動的分析手法の導入である。