要約:本研究は,中国の338地級市を対象に1995年から2019年までの夜間光データを用い,西部大開発戦略の経済成長への影響を分析した。PSM-DID推計の結果,戦略実施後3年間は成長促進効果が見られず,むしろ抑制効果が確認されたが,2003年以降は効果が正に転じ,政策の成果が現れたと解釈できる。一方,2011年以降は再び抑制効果がみられ,政策効果の減衰が示唆された。さらに,架空の処置群を設定したプラセボテストを行ったところ,推定係数は有意でなく,実際の推定結果とは明確に異なるp値が得られた。以上より,主要結果は偶然によるものではなく,分析の頑健性が確認された。これらの結果は,西部大開発戦略が長期的に一貫した効果をもたらしたわけではなく,政策効果が時期によって大きく変動することを示唆した。今後の課題として,インフラ整備や人的資本などを介した媒介経路の分析が必要とされる。