抄録
我々は既に理論計算によるベンジル位カルボカチオンの安定性に及ぼす置換基効果が気相における実験値を精度よく再現することを報告した。今回、環置換α-クミルカチオンに水分子を溶媒和させた化学種について安定性を理論的に決定した。まず、カチオン中心に水を1分子配位させたクミルカチオンのエネルギーを非経験的分子軌道計算により求め、1水和系の相対安定性を水和環置換体と水和無置換体とのヒドリド移動平衡のエネルギー差から決定した。更に、配位水分子の数および位置を変えた水和系について、同様に置換基効果を求めた。これらの溶媒和モデルの結果を基に、溶媒中のクミルカチオンの安定性や反応性におよぼす置換基効果が、どのような溶媒効果モデルを考慮すれば再現されるか検討した。