日本在宅ケア学会誌
Online ISSN : 2758-9404
Print ISSN : 1346-9649
原著
人工呼吸器を装着した配偶者の在宅介護を行う中高年女性の睡眠パターン
佐藤 鈴子菅田 勝也阿南 みと子
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2007 年 10 巻 2 号 p. 43-50

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抄録

人工呼吸器を装着した在宅療養者の介護者の睡眠パターンを調べる目的で,人工呼吸器装着在宅療養者の妻である介護者10人(平均年齢59.6歳)と介護をしていない女性(非介護者)10人(同59.8歳)を対象に夜間睡眠ポリグラフィと主観的睡眠評価を比較した.その結果,①介護者は非介護者に比べて頻回に離床(p<0.01)し,離床時間が長かった(p<0.01),②睡眠周期内睡眠段階出現率では,介護者のStage3+Stage4は,第2~第3周期にかけて急激に減少し,周波数解析では,第3周期で介護者は非介護者に比べて1~2Hzの帯域が有意に低く(p<0.05),12~13Hz,13~14Hzの帯域が高かった(p<0.05),③介護者は非介護者に比べ主観的睡眠評価が有意に低かった.

これらより第2~第3周期にかけてStage3+Stage4(徐派睡眠)が急激な減少を示した人工呼吸器装着療養者の介護者の睡眠パターンは,頻回に離床してケアをした影響によると考えられた.こうした介護者の睡眠パターンは不十分な睡眠であり,主観的睡眠評価の低さと関連があることが明らかになった.

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© 2007 一般社団法人日本在宅ケア学会
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