2009 年 12 巻 2 号 p. 52-59
本研究の目的は,訪問看護を利用している中重度要介護者に療養通所介護の提供を試み,通所介護中の看護ケア内容と対象者の表情や意識を記述することである.訪問看護ステーション利用者A氏(40代女性)とB氏(70代女性)に3か月間,週に1回,療養通所介護を提供し,看護ケア内容と対象者の表情と意識レベルを担当看護師が記録した.その結果.通所介護提供期間中に,A氏には,日常生活介助ケア中心の看護が提供され,B氏には看護ケアは多岐にわたり.医療看護ケア中心の看護が展開されていた.全期間を通して,A氏の表情も良好であり,発語もよくみられていたが,B氏は,通所介護提供にしたがって,苫痛様症状を示すことはなく発語も多くなっていた.以上より,看護ケアが多岐にわたる医療看護ケアニーズの高い事例に.療養通所介護を提供することにより,その表情と意識を良好にする可能性が示された.