2011 年 14 巻 2 号 p. 26-33
本研究は,訪問看護の認知症ケア構造の概念化を目的に,訪問看護師12 人に半構成的面接を行い,グラウ ンデッド・セオリー・アプローチを参考とし分析した.協力者のうち女性は11 人,看護師経験年数は平均 17.2 年,訪問看護師経験年数は平均8.8 年であった.事例13 人のうち,女性9 人,年齢は60 〜80 代,要 介護度は2 〜5 であった.訪問看護師の認知症ケアには,1)家に入れてもらう,2)継続して家に入れても らえる状況をつくる,3)生活上の問題を解決する,4)療養者に楽しみをつくる,5)サービスを利用しな がら療養体制を整える,6)家族が介護しながらも生活できるよう支援する,7)サービスを再調整し訪問看 護を徐々に縮小する,という実践プロセスが抽出された.また,プロセスの基礎となる8)療養者・家族の 経過を展望しそれを踏まえて実践する,というカテゴリーが抽出された.認知症療養者への訪問看護では経 過を展望し段階を踏んで援助する必要性が示唆された.