本研究は,訪問看護ステーションにおける家族介護者へのグリーフケアがどのように行われているかといった実施状況と今後の課題を明らかにすることを目的とし,質問紙を作成し,全国の訪問看護ステーションの管理者への郵送による自記式質問紙調査を実施した.
有効回答は332(90.7%)であった.看取り後のグリーフケアが業務として位置づけられている訪問看護ステーションは149(44.9%)と半数弱であり,そのうち,自宅訪問を実施している訪問看護ステーションが147(98.7%)と全数近くを占めていた.また,管理者の8 割以上がグリーフケアの必要性を感じているにもかかわらず,時間不足,人員不足や採算,グリーフケアの方法の不明瞭さ,グリーフケアの地域のサポート体制の未確立といった多岐にわたる実施上の課題を挙げた.
訪問看護ステーションが行うグリーフケアは,自宅訪問により,主に1 対1 で行われるケアであり,家族の個別性を尊重できるというメリットがあるが,提供のためには,時間や移動が必要であり,看護師の労力が大きいことが考えられた.
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