2011 年 14 巻 2 号 p. 41-49
本研究の目的は,糖尿病高齢者が在宅で行うインスリン自己注射の実際を明らかにすることである.
在宅サービスを受けている高齢者11 人と援助者を対象に,参加観察によるデータ収集を行い,その経過をオレムの看護システムを参考に,自己注射の自立度の視点で分類した.結果,身体的障害はあるが認知機能障害はない【自立型】,認知機能障害があり注射を忘れる【一部代行型:認知機能障害】,合併症が進行し体調不良に陥り自己注射が困難となる【一部代行型:身体不安定】,心身の障害が重く他者に注射を依頼している【代行型】,4 つの型に分かれ,それぞれ看護師,ケアマネジャー,ヘルパー等による特徴的な援助がみられた.自立型から代行型へ向かうと予測されるセルフケアを少しでも長く維持するためには,ケアマネジャーや訪問看護師が,セルフケアの変化を予測し,タイミングを見計らいながら援助を投入することが重要といえる.