2017 年 21 巻 1 号 p. 67-75
本研究の目的は,認知症高齢者が独居生活の限界の時期を迎えるまでの過程を明らかにすることである.9人の介護支援専門員に半構造化インタビューを実施し,質的記述的に分析を行った.その結果,認知症高齢者は自ら【独居生活を希望】するが,【中核症状による生活の乱れ】や【体調管理の危機】が生じる.【介護サービスの導入困難】な状況でも【多職種の工夫と連携】により,【生活の改善】ができた.しかし,《道に迷ってひとりでは帰れなくなる》ことや《火事の危険性があるが予防困難な状況》など【生命の安全確保の危機】【不可解な行動に対する近隣の敬遠】が生じ,本人は【施設入所を拒否】するが【サービス提供者や家族の疲弊とあきらめ】によって施設入所に至っていた.今後,周囲との関係性も重視しながら,本人の安全確保に努めめていく支援が必要である.