2018 年 21 巻 2 号 p. 33-41
本研究は,地域包括ケアシステムの一環として設立されたコミュニティ・レストランで高齢者に食事を提供する過程を通して,レストランの調理スタッフと管理栄養士が協働することの意義を明らかにすることを目的とした.調理スタッフ7人を対象に個別インタビューを行い,SCATの手法により概念分析を行った.その結果,①調理者として高齢者への配慮を通し食の意味を知る,②安心感をもって調理の技術と知識を習得し地域の人に喜ばれる食事づくりを目指す,③信頼を寄せる管理栄養士の後押しを得て若い人に助言しながら食事を提供する,が抽出された.地域住民である調理スタッフは管理栄養士と協働することによって調理者として成長し,食を通した地域活動を担う人材として期待される.管理栄養士の役割にはコミュニティ・エンパワメントを活用した地域支援の可能性が示唆された.