日本在宅ケア学会誌
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研究
中国都市部に在住の中年世代の老親介護における介護サービスの利用希望に関する研究:中国徐州市を例に
牛 嘯塵杉澤 秀博
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2018 年 21 巻 2 号 p. 76-85

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抄録

本研究では,中国徐州市に在住の中年世代を対象に,老親介護における介護サービスの利用希望に影響する要因を解明する.要因として,従来の研究で着目されてこなかった介護サービスに関する意識と孝養意識などの心理的要因に着目した.調査対象は当該市に居住し,老親を介護している45〜59歳の中年世代320人であり,調査方法は自記式調査票を用いた留置法であった.分析例数は154であった.従属変数は,「家族介護のみ」「家族介護と在宅サービス両方」「在宅サービスに依存(在宅サービスのみと施設入所)」の3カテゴリーとし,独立変数には,上記の要因を含む心理的要因,介護サービスニーズ要因,社会経済階層要因を位置づけた.「家族介護のみ」を基準カテゴリーとし,多項ロジスティクス回帰分析を行った結果,制度抵抗感の強い人では「家族介護と在宅サービス両方」の利用希望が有意に弱かった.在宅サービスの理解度が高い人ほど「家族介護と在宅サービス両方」の利用希望が有意に強かった.介護している親の人数が多いほど,また体調が悪いと感じた人ほど,「介護サービスに依存」の希望が有意に強かった.要介護の老親の住所までの所要時間が30分〜1時間という人では,30分以内(同居も含む)のところに住む人より,「家族介護と在宅サービス両方」の利用希望が有意に強かった.

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© 2018 一般社団法人日本在宅ケア学会
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