2018 年 22 巻 1 号 p. 123-130
研究目的は,訪問看護におけるグリーフケアの実施上の課題を記述し,グリーフケアの提供方法を検討することであった.グリーフケアを提供している看護師13 人がグループインタビューに参加した.内容分析の結果,グリーフケアの提供における困難として,【死別後の生活が不安定な遺族への対応に苦慮する】【提供体制が整わず十分なグリーフケアができない】【グリーフケアを提供する看護師に負担がある】ということがあった.一方,グリーフケアの提供に向けた今後の課題には,【職場に合ったグリーフケアのアプローチを工夫する】【遺族をサポートする社会資源があるとよい】【グリーフケアを振り返る機会があるとよい】ということがあった.
本研究結果からグリーフケア提供の困難の特徴が示され,在宅ケアチームの連携,心理に関する専門職の活用,および遺族間の交流等により,地域における遺族サポートの機能を高める必要性があると考えられた.