2021 年 25 巻 1 号 p. 86-93
本研究の目的は,介護予防・生活支援サービス事業開始後のサービス利用相談時における地域包括支援センター職員の対応に迷う要因とその時の対処を明らかにすることである.地域包括支援センター7か所の職員14人を対象に半構造化面接を実施し,質的記述的に分析を行った.その結果,全地域包括支援センターが相談手順と方針を決めていたものの,職員は【本人の状態と生活状況に関する情報不足】【困難な認知症の進行予測】【本人・家族の希望と専門職の判断の相違】【本人と家族の意向の相違】があると対応に迷っていた.それらの状況に対し【本人の状態や生活状況の把握】【同行訪問による他職種との検討や対応】【センター内での検討】【個別ケア会議での検討】【事業利用と要介護認定両方の申請】を行っていた.職員の適切な相談対応には,他の関係機関や専門職の活用と,センターの相談対応職員へのサポート体制づくりの必要性が示唆された.