本研究の目的は,後期高齢者がどのようなことに価値を認めて服薬行動を実施しているのか明らかにし,その価値観を尊重した服薬支援のあり方を検討することである.内科クリニック3か所に通院する後期高齢者31名を対象として,半構造化インタビューを実施した.対象は,平均82.0歳±SD5.2,男性14人(45.1%),独居者8人(25.5%),服用年数は10年以上が22人(71.0%)であり,薬は平均2.9±SD1.9種類を服用し,服薬の飲み忘れはなかった.質的データを質的帰納的に分析した結果,《主治医を信頼している》《今より悪くならない》《薬を飲んで元気でいる》《家族に迷惑をかけたくない》の4つの価値観の中核カテゴリが抽出された.これらの価値観を尊重しながら,医師との信頼関係を基に,チーム間で情報を共有し,家族の支援を受けながら,服薬が継続できるように支援する必要がある.