日本在宅ケア学会誌
Online ISSN : 2758-9404
Print ISSN : 1346-9649
25 巻, 2 号
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目次
巻頭言
第26回日本在宅ケア学会学術集会
学術集会長講演
教育講演
シンポジウム I
市民公開講座
政策提言検討委員会セミナー
総説
  • 滝 ゆず, 岩田 昇, 堀口 和子, 鈴木 千枝
    原稿種別: 総説
    2022 年 25 巻 2 号 p. 53-60
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    目的:複数の家族員を介護する介護者の文献をレビューし,現在までの研究知見と今後の課題を明らかにする.

    方法:医学中央雑誌・PubMed・CINAHL・MEDLINEを使用し,2020年12月までの文献を検索した.キーワードは多重介護  OR   二重介護   OR  複数介護  OR  複合介護  OR  ダブルケア,英語では“multiple”,“compound”,“collective”の各キーワードに“caregivers”および“caregiving roles”を掛け合わせた.ヒットした文献を介護対象で分類し,内容を精査した.

    結果:複数の家族員の介護は,複数の高齢者を介護する「多重介護」と育児(子の世話)と親の介護をする「ダブルケア」に大別された.多重介護に関する国内文献は存在せず,国外文献では介護と他の生活活動との葛藤による心身の負担が指摘されていたが,介護者や介護の詳細に関する記述は見られなかった.

    結論:多重介護は単一の介護より負担が大きいと考えられるが,その実態は不明である.多重介護の問題の明確化と支援体制の構築のためにさらなる研究が望まれる.

  • 鈴木 優喜子, 原田 祐輔, 久篠 奈苗, 河田 萌生, 清水 恵, 大橋 由基, 尾﨑 章子, 金盛 琢也, 亀井 智子, 下田 信明
    原稿種別: 総説
    2022 年 25 巻 2 号 p. 61-76
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    【目的】在宅認知症高齢者を対象とした訪問リハビリテーションが,これを受けない統制群と比較して臨床指標を改善するかについて明らかにする.

    【方法】PRISMA Statementによるシステマティックレビューとメタアナリシスを行った.適格基準は,①ランダム化比較試験,②対象者が自宅療養中の65歳以上の認知症高齢者もしくはその主介護者,③理学療法士,作業療法士,言語聴覚士のいずれかが対象者の自宅への訪問リハビリテーションを実施している,④アウトカムがADL,抑うつ,BPSD,QOL,介護者における抑うつ,介護負担感のいずれか1つ以上を含んでいるとした.

    【結果】採択文献は10研究であった.メタアナリシスの結果,介入群では,本人の抑うつの改善が有意であった. 他のアウトカムの改善効果は明確でなかった.

    【結論】在宅認知症高齢者を対象とした訪問リハビリテーション介入は本人の抑うつ改善に有効であるが,エビデンスの確信は限定的である.

  • 猪飼 やす子, 根岸 由依, 加藤 エリカ, 石川 和枝, 原田 智世, 亀井 智子
    原稿種別: 総説
    2022 年 25 巻 2 号 p. 77-92
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    【目的】心不全在宅療養者への専門職による遠隔モニタリング支援の心機能,救急受診等のヘルスアウトカムへの有効性をシステマティックレビューとメタアナリシスにより評価する.

    【方法】系統的レビューを行った.適格基準は①ランダム化比較試験,②成人・高齢慢性心不全在宅療養者,③専門職が遠隔モニタリングを行う,④対照群は遠隔モニタリングを行わないとした.日本在宅ケア学会ガイドライン作成委員会活動として実施した.

    【結果】34研究が採択された.盲検化の他バイアスリスクを認めた.支援内容は,看護師等による症状カウンセリングや患者教育であった.介入群は,心機能分類が有意に低かった(p=.0002).アドヒアランス,救急受診,在院日数,入院回数,生活の質,コストには差を認めなかった.

    【結論】心不全在宅療養者への遠隔モニタリング支援は,心機能への有効性が示唆されたが,エビデンスの確信は限定的である.

  • 大友 晋, 猪飼 やす子, 南 琴子, 亀井 智子
    原稿種別: 総説
    2022 年 25 巻 2 号 p. 93-107
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    【目的】慢性閉塞性肺疾患(COPD)在宅療養者への医療職による遠隔モニタリング支援の不安・うつと生活の質への有効性をシステマティックレビューとメタアナリシスにより評価する.

    【方法】PRISMA statementに従いシステマティックレビューを行った.適格基準は①ランダム化比較試験,②COPDを40%以上含む,③医療職が遠隔モニタリングと支援を行う,④対照群は遠隔モニタリングを行わないものとし,文献を評価した.介入期間でサブグループ解析を行った.日本在宅ケア学会ガイドライン作成委員会の活動として実施した.

    【結果】12研究が採択された.遮蔽化等にバイアスリスクを認めた.支援内容は看護師等による遠隔支援や療養者教育等であった.6か月以内介入群のHADS-Aの点数が有意に低かった.

    【結論】COPD療養者への医療職による遠隔モニタリング支援は不安軽減への有効性が示唆されたが,エビデンスの確信は限定的である.

  • 桑原 良子, 服部 ゆかり, 辻 彼南雄
    原稿種別: 総説
    2022 年 25 巻 2 号 p. 108-116
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    【目的】在宅高齢者への多職種による薬物管理介入がポリファーマシー,およびフレイルの改善に有用かシステマティックレビューにより評価する.

    【方法】系統的レビューを行った.適格基準は,①対象者は在宅療養中の65歳以上の高齢者,②複数の異なる専門職による対象者への薬物管理介入を含んでいる,③ランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial:RCT)とした.

    【結果】データベース検索の結果,579文献が同定され,採択文献は5文献であった.多職種は医師,薬剤師,看護師からなる介入であった.データの統合を検討したが,アウトカム測定尺度が異なる理由でメタアナリシス解析による統合はできなかった. 

    【結論】在宅高齢者への多職種による薬物管理介入は,処方薬の適正化から減薬が認められたものの,ポリファーマシー,およびフレイルの改善に有用という研究結果は明確でなかった.

  • 河田 萌生, 清水 恵, 大橋 由基, 鈴木 優喜子, 原田 祐輔, 久篠 奈苗, 下田 信明, 尾崎 章子
    原稿種別: 総説
    2022 年 25 巻 2 号 p. 117-133
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    【目的】身体機能低下を有する在宅高齢者へのレジスタンストレーニングおよびタンパク質強化型栄養療法の複合的介入が,各々の単独介入または双方を実施しない場合と比べ有効か評価する.

    【方法】The Cochrane handbookの手法を用いシステマティックレビューとメタアナリシスを行った.適格基準は①身体機能低下を有する65歳以上の在宅高齢者,②レジスタンストレーニングとタンパク質強化型栄養療法の複合的介入,③対照群はこれらの複合的介入を含まない,④ランダム化比較試験とした.

    【結果】採択研究は13研究であった.メタアナリシスの結果,介入群で双方を実施しない群と比較し,10・12週間後の5回椅子立ち上がりテストに有意な改善を認めた(Mean Difference=-2.15; 95%Confidenc Interval=-3.00, -1.30; I2=0%).

    【結論】身体機能低下を有する在宅高齢者へのレジスタンストレーニングおよびタンパク質強化型栄養療法の複合的介入は下肢機能およびバランス機能向上に有効であるが,エビデンスは限定的である.

原著
  • 小枝 美由紀, 大野 かおり
    原稿種別: 原著
    2022 年 25 巻 2 号 p. 134-142
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    【目的】在宅ケアにおける多職種の連携の概念を明らかにすることを目的に概念分析を行った.

    【方法】Rodgersの概念分析を用い,46文献を対象に分析を行った.

    【結果】属性に,【機関や職種を越えた情報の共有と共通理解】,【コミュニケーションのための資源を活用する】,【各職種や機関で役割と機能を分担しながら共に行う】の3要素,先行要件に,【医療と介護の連携ニーズ】,【医療と介護の各専門職の理解】,【療養者中心の態度】,【別々の機関に所属する職種間の関係性】の4要素,帰結に,【在宅ケアの質向上】,【機関を超えた多職種でのチーム力向上】,【役割の解放】,【職務満足】の4要素が得られた.

    【結論】連携とは,医療と介護の専門職が【コミュニケーションのための資源を活用する】ことを用いて【機関や職種を越えた情報の共有】を行うことにより,【各職種や機関で役割と機能を分担しながら共に行う】ことであると定義された.

  • 渡辺 忍
    原稿種別: 原著
    2022 年 25 巻 2 号 p. 143-154
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    インスリン療法を行う要介護者支援に関わる介護支援専門員の情報把握の実態ならびに基礎資格に依らない情報把握に関連する要因を明らかにすることを目的に質問紙調査を実施した.

    その結果,介護支援専門員(186名)の看護師資格の有無によって,シックデイ時の対応等のインスリン療法管理上の安全に関わる情報項目に把握状況の違いがみられた.また,看護師資格の有無に関係なく有意差がみとめられた要因は,訪問看護の利用の有無(p=0.006)と医療者との連絡手段の有無(p<0.001)であった.

    以上の結果から,今後,基礎資格に関係なく介護支援専門員のインスリン療法を行う要介護者の情報把握度を標準化するためには,訪問看護導入の検討,医療者との連絡手段を確立するシステムが必要と示唆された.

  • −2職種における専門スキルの強み−
    影山 康博
    原稿種別: 原著
    2022 年 25 巻 2 号 p. 155-164
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    目的:急性期医療機関のMSWと退院支援看護師の退院支援実践力の構成因子を明確化し,両職種の実践力の差異を明らかにして,2職種における専門スキルの強みを探索する。

    方法:全国47都道府県の251機関に,退院支援実践力に関するアンケート調査を実施した。MSW154人,退院支援看護師172人,合計326人を分析対象に探索的因子分析を行った。また,職種別に因子得点の平均値を算出して独立したサンプルのt検定を行った。

    結果: MSWと退院支援看護師の退院支援実践力は,【計画に基づく意思決定支援力】【医療的ケアの生活への融合力】【保健医療福祉サービス調整力】の3因子から構成されることが明らかになった。【計画に基づく意思決定支援力】と【医療的ケアの生活への融合力】は退院支援看護師の,【保健医療福祉サービス調整力】はMSWの因子得点の平均値が高く,3因子では両職種間に統計的有意差が認められた。

    結論:2職種の強みを生かした連携が有用と示唆された。

研究報告
  • 梅津 千香子
    原稿種別: 研究報告
    2022 年 25 巻 2 号 p. 165-173
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    本研究は,COPD療養者の終末期における療養経過と訪問看護師の支援内容を明らかにすることを目的とした.対象はCOPD療養者の終末期における訪問看護を経験した訪問看護師8名,平均訪問看護師経験年数は13.8年(SD±4.8)であった.質的記述的に分析した結果,訪問看護師の支援は[安定期から継続して行う支援]と[終末期を予測して行う支援]の側面があった.[安定期から継続して行う支援]は【急性増悪の予防法と徴候を繰り返し伝える】,【在宅酸素療法の正しい使い方を生活に組み入れる】,【呼吸リハビリテーションを継続して呼吸機能を維持する】,【セルフケアを支えて安定した日常生活を維持する】の4カテゴリーが抽出された.[終末期を予測して行う支援]は【訪問回数を増やして呼吸困難の増強を抑える】,【訪問看護チームや訪問診療医と連携して心の安定をはかる】,【最後まで生き続けるための希望をつなぐ】,【希望する終末期の療養を実現する】の4カテゴリーが抽出された.

  • 有田 久美, 佐久間 良子, 久木原 博子
    原稿種別: 研究報告
    2022 年 25 巻 2 号 p. 174-181
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,後期高齢者がどのようなことに価値を認めて服薬行動を実施しているのか明らかにし,その価値観を尊重した服薬支援のあり方を検討することである.内科クリニック3か所に通院する後期高齢者31名を対象として,半構造化インタビューを実施した.対象は,平均82.0歳±SD5.2,男性14人(45.1%),独居者8人(25.5%),服用年数は10年以上が22人(71.0%)であり,薬は平均2.9±SD1.9種類を服用し,服薬の飲み忘れはなかった.質的データを質的帰納的に分析した結果,《主治医を信頼している》《今より悪くならない》《薬を飲んで元気でいる》《家族に迷惑をかけたくない》の4つの価値観の中核カテゴリが抽出された.これらの価値観を尊重しながら,医師との信頼関係を基に,チーム間で情報を共有し,家族の支援を受けながら,服薬が継続できるように支援する必要がある.

  • 秋葉 喜美子, 落合 佳子, 王 麗華
    原稿種別: 研究報告
    2022 年 25 巻 2 号 p. 182-190
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    複数事業所による訪問看護師の連携の構造を明らかにすることを目的に,A県内の2ヵ所の訪問看護ステーションを利用し,在宅で生活する神経難病療養者を担当する訪問看護師10名に対し,半構造化面接を行い,質的記述的に分析した.その結果,【医療的ケア・日常生活の重症化への共通理解】【他者理解と信頼構築】【多様な連携手段と調整】【支援者間の相補】という4つのコアカテゴリーが抽出された.訪問看護師は神経難病療養者の特徴を理解し,病気の進行に応じて変化に柔軟に対応し,多様化する支援を遂行していた.また連携の中で協働する姿勢を持ち,訪問看護ステーションとしての機能や役割を認識しながら支援のチーム化を図っていた.そして互いに相補しながら看護の質向上を図り,療養者や家族の生活の質の維持,向上に努めていた.複数の訪問看護ステーションによる訪問看護は地域包括ケアシステムに求められる看護連携推進の一助となることが示唆された.

  • 前田 明里, 永田 智子
    原稿種別: 研究報告
    2022 年 25 巻 2 号 p. 191-199
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    目的:外来看護師が患者の在宅療養支援ニーズに気づくために行っている観察・実践の重要度と実施状況を明らかにする.

    方法:全国436病院の外来看護師を対象とし,観察・実践項目の重要度と実施状況について無記名自記式質問紙による横断研究を実施した.

    結果:1,015人から有効回答を得た(有効回答率63.9%).75%以上の外来看護師が41項目中39項目の観察・実践項目に対して重要であると回答した.重要である,実施していると回答する割合が最も高かった項目は,「患者から,症状の悪化や苦痛などの自覚症状の訴えがないか」であり,重要と回答する割合に対して実施している割合が低かった項目は,『患者・介護者の在宅サービスへの認識・申請状況』に関する項目であった.

    結論:39項目の観察・実践項目に対して重要であるとのコンセンサスが得られた.『患者・介護者の在宅サービスへの認識・申請状況』については,実践に向けた教育の充実などの重要性が示唆された.

  • 工藤 うみ
    原稿種別: 研究報告
    2022 年 25 巻 2 号 p. 200-207
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    【目的】介護施設の介護職,看護職,相談職,リハビリ職,事務職について,その看取り態度(FATCOD-B-J得点)と個人属性の関連を検討した.【方法】介護施設の職員410名に無記名自記式質問紙調査を行った.【結果】有効回答数は356部(86.8%)であった.FATCOD-B-Jで測定した看取り態度には,看取り研修受講と職種,性別が関連していた.看取り研修は2回以上受講することで看取りケアへのより前向きな態度が形成されること,多職種のなかでも相談職の看取りケア態度が前向きであることが示唆された.【結論】多職種が看取りに関する学習を継続することで,施設全体の看取り態度を向上させることが重要である.

  • 村田 尚子
    原稿種別: 研究報告
    2022 年 25 巻 2 号 p. 208-215
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    在宅看取りをした家族へのグリーフケアを行った訪問看護師の心理状態を明らかにすることを目的に質的記述的研究を行った.訪問看護師10名からの語りのデータを終末期・臨終期・遺族訪問期に分類し,各時期の看護師の心理を抽出し,分析した.

    その結果,終末期では【家族との関係形成に苦悩】【死期を伝えることへのためらいと葛藤】【通じ合える家族とスタッフの存在による安心】,臨終期では【家族とのエンゼルケアでの安堵と癒し】【支援不足のまま直面させた死の瞬間への自責】【看取りの場にある平穏な気持ち】,遺族訪問期では【喪失感と虚しさ】【家族心情への囚われ感】【家族への負い目】【家族から得る安堵と喜び】の心理が抽出された.

    グリーフケアを行った訪問看護師の心理状態は,ネガティブな側面とポジティブな側面があり,それは家族との関係性や,家族支援に対する看護師の実感,看取り後の家族の反応に影響されることが示唆された.

実践報告
  • 小池 愛弓, 岡田 麻里, 長江 弘子, 仁科 祐子, 坂井 志麻, 片山 陽子, 乗越 千枝, 谷垣 靜子, 酒井 昌子, 彦 聖美
    2022 年 25 巻 2 号 p. 216-224
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究は継続看護マネジメント(以下,CNMと略す)教育プログラム(基礎編)の研修に参加した看護職の学びの特徴を明らかにし,教育プログラムの意義と今後の活用への示唆を得ることである.

    【方法】CNM研修受講者252人に自記式質問紙調査を行った.対象は有効回答188人(74.6%)であった.調査はCNM研修を評価する19項目と「新しい学び」と「実践での活用」の自由記述で構成した.

    【結果】所属は,病棟,退院支援,外来,訪問看護,教育等であった.評価得点19項目のうち5項目で,訪問看護が病棟より有意に高く,学びの特徴として病棟看護師はCNMを新たな実践概念として学び,訪問看護師は自らの実践を振り返りCNMと実践を結びつけていた.

    【考察】CNM研修は多様な場で働く看護職が患者を時間軸で捉えることで,生活者としての理解や目標志向を学ぶ機会となる.また,自らの活動の場の特徴や役割を意識化し,看護職間の相互理解を促進する可能性が示唆された.

資料
  • 中島 民恵子
    原稿種別: 資料
    2022 年 25 巻 2 号 p. 225-232
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/06
    ジャーナル フリー

    本文献レビューの目的は,独居認知症高齢者の在宅生活継続に向けて,これまでに明らかになっている在宅生活継続の阻害要因を概観し,整理することである.データベース「医中誌Web」および「CiNii Articles」を用い “認知症” and “高齢者” and “独居or一人暮らし”をキーワードに検索し,本研究の目的と関連する記述のある文献を抽出した.12件の文献を分析した結果,主な阻害要因として「生命の安全確保の危険」,「日常生活に影響する疾病や身体機能の低下」,「セルフマネジメント能力の低下」,「サービスの利用困難」,「経済的被害」「近隣住民との関係性の悪化」の6つのカテゴリーに分類された.阻害要因は1つのことが生じるだけで在宅生活の継続が難しくなる訳ではなく,重複することで難しくなっていた.単にこれらの要因が存在することで在宅生活の継続が危ぶまれるということがないよう,各要因に本人と周囲の関係者が向き合い,対話を重ねることが重要である.

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