日本助産学会誌
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家庭での性教育における親の果たすべき役割
小倉 由紀子北川 眞理子
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2010 年 24 巻 2 号 p. 333-344

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抄録

目 的
 本研究の目的は,家庭での性教育における親の果たすべき役割を親子双方の視点から明らかにすることである。
研究参加者と方法
 研究参加者は,A県下M市内中学校1年生から3年生の親子の中から,10組21名を抽出し文書で通知,その後電話で研究の説明をおこない内諾が得られたものとした。親が10名、子どもが11名で、親子別々に家庭での性教育実施における親の果たすべき役割について非構成化面接を行い,データ収集を行った。得られたデータを質的に記述し分析を行った。
結 果
 家庭での性教育実施における親の果たすべき役割について11カテゴリーが抽出された。その中で、親が考える家庭での性教育における親の果たすべき役割は、【学校教育での性教育の内容を知る】【学校教育との連携をはかる】【性の相談に対応し知恵を伝授する】【子どもの成長発達を受け止める】【正しい性知識を伝える】【親子の関係性を調整する】【性情報の氾濫に対応する】【夫婦の関係を円満にする】の8カテゴリーが抽出された。また子どもが考える家庭での性教育における親の果たすべき役割は、【子どもが望む性教育実現への支援】【子どもの求める性問題へ介入する】【家庭環境を調整する】の3カテゴリーが明確となった。
結 論
 本研究より,家庭での性教育における親の果たすべき役割は,知識だけではなく経験の中での知恵や細かい実践部分での対応に関連していた。子どもと親との関係において,どれくらい親が子どもに向き合い子どもにとって話しやすい相手であることかが重要であった。

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© 2010 日本助産学会
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