日本助産学会誌
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継続事例実習で助産師学生に受け持たれた女性の学生実習に対する思いとその変化
福丸 洋子落合 亮太松坂 充子
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2010 年 24 巻 2 号 p. 322-332

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抄録
目 的
 継続事例実習で助産師学生に受け持たれた女性の学生実習に対する思いとその変化を明らかにする。
対象と方法
 継続事例実習で助産師学生に受け持たれた女性10名に半構造化面接を行い,Grounded Theory Approachの手法を用いて分析を行った。
結 果
 助産師学生に受け持たれた女性の思いは,学生実習依頼を受けた時・妊娠期・分娩期・産褥期の各段階で明確に異なっていた。対象者は,1. 〈学生実習の依頼を受けた時の思い〉として,〔勉強している学生に協力したいと思って受け持ちを承諾した〕,〔学生に受け持たれることでメリットがあるかもしれないと思って受け持ちを承諾した〕という思いを抱いていた。2. 〈妊娠期の思い〉としては,〔保健相談がとても勉強になった〕,〔学生に受け持たれて周囲の人の態度が変化した〕などの学生実習のメリットが多く語られる一方で,〔手技にはたどたどしいところもあった〕との声も聞かれた。3. 〈分娩期の思い〉としては,自然分娩を経験した対象者からは〔学生が内診や分娩介助を行うことは驚いたが受け入れられた〕などの声が聞かれた。また,帝王切開を経験した対象者からは,〔学生の勉強にならず申し訳なかった〕との声も聞かれた。4. 〈産褥期の思い〉としては,〔学生を頼もしく感じるようになった〕などの思いが語られ,全ての対象者が学生に対して一定の信頼を寄せていた。5. 〈実習全体についての思い〉としては,全ての対象者が〔学生だけでなく多くの人が関わってくれてよかった〕と肯定的に評価していた。6. 〈実習の進行に伴う学生に対する思いの変化〉については,〔徐々に自然な形で打ち解けていった〕と語る対象者と,〔不安と信頼感が比例していった〕と語る対象者の2つの特徴的なパターンが見られた。
結 論
 本研究の結果から,妊娠期・産褥期のケア技術の習得,助産師学生が分娩介助を行うことに関する事前説明などの必要性が示唆された。
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© 2010 日本助産学会
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