日本助産学会誌
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原著
夫婦の認識から捉えた「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」の作成
—因子的妥当性による質問項目の選定—
中島 久美子常盤 洋子
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2012 年 26 巻 2 号 p. 166-178

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抄録

目 的
 本研究の目的は,妊娠期の妻への夫の関わりに対する妻の満足感を妻と夫の認識から捉えた「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」を作成するため,尺度の因子的妥当性を検討し,尺度の質問項目を選定することである。
対象と方法
 対象者は第1子妊娠期(初期,中期,末期)の夫婦である。夫婦760組に配布し,回答の得られた437組のうち419組を分析の対象とした。尺度の質問項目は,先行研究(中島・常盤,2011)から得られた「妊娠期の妻が満足と感じる夫の関わり」を構成する概念の3つの側面,「夫婦の親密性」「家族システム」「親になる意識」に対応させて選んだ。尺度の質問項目は,妊娠初期40項目,妊娠中期46項目,妊娠末期51項目からなり,回答は5件法であり夫の関わりに対する妻の満足の程度が測定された。
結 果
 「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」は,「妻用の尺度」では妊娠初期14項目,妊娠中期21項目,妊娠末期24項目,「夫用の尺度」では妊娠初期17項目,妊娠中期20項目,妊娠末期17項目となった。因子分析の結果,妻と夫,各々の尺度に「妻の健康と情動への気づかい」「家事労働」「子どもが生まれることに関する夫婦のコミュニケーション」の3つが抽出された。妻と夫,各々の尺度の因子構造は,「妊娠期の妻が満足と感じる夫の関わり」を構成する概念の3側面を含んでいることから,因子的妥当性が確認された。内的整合性では,「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」の下位尺度にCronbach'sα=.78~.92の高い信頼性が確認された。
結 論
 本研究では,妊娠期の妻への夫の関わりに対する妻の満足感を妻と夫の認識から捉えた「妊娠期の妻への夫の関わり満足感尺度」の質問項目が選定された。妊娠各期の尺度の下位尺度では,全てにおいてCronbach'sα=.78~.92の高い信頼性係数が得られたことから,妊娠各期の妻への夫の関わりに対する妻の満足感を妻と夫の認識から捉えた尺度の質問項目が選定されたといえる。また,本尺度は「妊娠期の妻が満足と感じる夫の関わり」の概念の3側面を含んでいることが確認され,因子的妥当性が支持された。

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