抄録
目 的
助産師が医師と協働で妊婦健康診査を行うことについてどの様な思いを抱いているかを明らかにする。
研究方法
質的記述的研究デザインで実施した。2010年7月~8月に関東圏内の病院に勤務し,助産外来で妊婦健康診査を行う助産師5名に対し,半構成的面接を実施した。得られたデータをコード化し,研究参加者間でコードの比較分析を行いテーマ,ストーリーラインに整理した。
結 果
助産師は医師と協働で妊婦健康診査を行う際に,【助産外来を担う責任と異常を見逃すことへの恐怖心がある】が,助産外来での【経験を積みスキルアップを図ることは,やりがいに繋がる】と考えていた。そして,【医師と共に助産外来で妊婦を診ているので安心感がある】と感じ,助産師にとって【助産外来の基準は,助産師と医師を繋ぐもの】と捉えていた。しかし,医師と協働で妊婦健康診査を行う中で【共同管理すべき妊婦への役割分担に困難さとジレンマを感じている】状況にあった。そして,助産師は【医師に遠慮することで妊婦に負担をかけてしまう】と感じ,【立場が上である医師の監視下にある助産外来はやりにくい】ものであった。さらに,【助産外来は医師外来にとって都合の良い道具である】のではないかと捉えていた。
結 論
助産師は医師と協働で妊婦健康診査を行う中で,責任と異常を見逃すことへの恐怖心を抱きつつも,やりがいや医師の存在により安心感を得ていた。しかし,その様な中で助産師は,医師との間で役割分担の困難さやジレンマを抱き,医師の監視下では自分自身の意思決定に基づいて行動することが難しいと感じていた。