日本助産学会誌
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退院時と1か月健診における新生児のおむつかぶれの実態
眞嶋 ゆか小林 康江
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2015 年 29 巻 1 号 p. 48-58

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抄録

目 的
 本研究は,退院時と1か月健診の新生児のおむつかぶれの有無と推移,臀部の角層水分率および母親のおむつ交換方法との関連を明らかにすることである。
対象と方法
 2012年7月~10月に,X県の産婦人科医院1施設で出生した新生児と母親69組を対象に,生後4日と1か月健診時に調査した。新生児は外陰部,肛門周囲部,大腿部,臀部,下腹部について,紅斑,丘疹,腫脹,びらん,落屑の有無を観察し,モイスチャーチェッカー水分計MY-808S(スカラ社)を用いて臀部の角層水分率を測定した。母親にはおむつ交換方法(おむつ交換の目安,おむつ装着時の注意点,臀部の拭き方)を聞き取り調査した。分析は,SPSSVer.20を使用し,有意水準は5%とした。
結 果
 新生児は男児31名,女児38名だった。丘疹や紅斑が生後4日は18名(26.1%),1か月健診時30名(43.5%),2時点のいずれかは38名(55.1%)の大腿部や肛門周囲部に認められ,生後4日の男児(p=.03)と1か月健診時(p=.03)に有意に多く認めた。臀部の角層水分率は生後4日31.9±1.0%,1か月健診時32.2±1.0%であり,1か月健診時に有意に増加した(p=.04)。母親のおむつ交換方法は2時点とも変化がなく,交換の目安は「泣いた時」,おむつ装着時の注意点は「お腹がきつくない」,臀部の拭き方は「弱く拭く」が最も多かった。おむつかぶれの有無と臀部の角層水分率,排便回数,おむつ交換回数,母親のアトピー性皮膚炎既往の有無,入院中のおむつ交換指導の有無,栄養の種類別,臀部の拭き方は関連がなく,おむつ交換方法も特徴的な差はなかった。
結 論
 おむつかぶれの有無とおむつかぶれを生じさせると考えられる項目やおむつ交換方法に差がないため,どの児でもおむつかぶれを生じる可能性がある。母親は退院後も入院中とほぼ同じ方法でおむつ交換を行っており,入院中の指導の重要性が示唆された。

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© 2015 日本助産学会
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