日本助産学会誌
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更年期症状で婦人科を受診している女性の体験
横地 美那恵美須 文枝柳澤 理子志村 千鶴子
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2015 年 29 巻 1 号 p. 59-68

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抄録

目 的
 更年期症状で婦人科を受診した女性の体験を記述する。
対象と方法
 研究デザインは,質的記述的研究とした。A県内のAクリニックを受診している更年期症状を持つ女性10名に,症状自覚から受診にまつわる体験について,60分程度の半構成的面接を実施した。分析方法は,逐語録を用いて体験内容の類似性と相違性,関連性に従って分類し,コードを抽出して,更に抽象度を上げてサブカテゴリーとした。それを分類して7つのカテゴリーを生成した。
結 果
 更年期症状で婦人科を受診している女性の体験は,カテゴリーの関連から以下のように説明できる。女性は,【婦人科受診や更年期にためらいつつ他者の影響を受ける】。更に【自分ではどうしようもない状況に取り囲まれる】に陥る。そして【日々,症状に翻弄されながら,突破口が見つからず悶々とする】という状況になる。それはやがて,【婦人科を受診できない状況·受診したくない気持ちを乗り越え,受診に踏み切る】になる。そして婦人科を【受診してよかったが,治療に対する懸念を抱く】という状況を経て,【更年期を受け入れ,経験を生かす】にたどり着いていた。更に悶々と過ごす日々の中で【辛さを分かち合える理解者を求める】という気持ちを抱く。
結 論
 更年期女性は,更年期と自覚したのち,様々な感情と葛藤しながらも受診に至る。しかし,更年期医療を享受して症状が楽になっても,なお治療に対する懸念を抱き,症状の辛さを理解してくれる相手を求めている実態が見えてきた。

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© 2015 日本助産学会
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