日本助産学会誌
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原著
勤務助産師が行う父親役割獲得を促す支援とその関連要因
礒山 あけみ
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2015 年 29 巻 2 号 p. 230-239

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抄録

目 的
 勤務助産師が行う父親役割獲得を促す支援の実態とその関連要因を明らかにし,周産期における家族ケアシステムの構築を検討するための示唆を得ることを目的とする。
対象と方法
 病院・診療所に勤務している助産師を対象に,自記式質問紙調査を行った。父親役割獲得を促す支援の項目について因子分析を行い,助産師の属性による得点の差をt検定および一元配置分散分析を用いて分析した。
結 果
 研究協力者は422名(有効回答率93.6%)であった。因子分析の結果,“父親への支援に対する姿勢”“分娩時の父親役割準備”“父親意識の促進”“ピアサポート促進”“妻へのサポート促進支援”“アタッチメント促進”“父親のニーズに応じた支援”“夫婦間コミュニケーション促進”の8因子が抽出された。各因子に対するCronbachのα係数は0.72~0.95であった。実施率が高かった因子は“妻へのサポート促進支援”,“アタッチメント促進”,“分娩時の父親役割準備”,“父親への支援に対する姿勢”,“夫婦間コミュニケーション促進”であった。父親役割獲得を促す支援は,助産師経験年数や助産師数,両親学級や夫立ちあい分娩および夫への育児指導の有無により有意な差が認められた。
結 論
 勤務助産師の父親役割獲得を促す支援には助産師経験年数や助産師数が関連していた。父親役割獲得を促すためには,まず助産師が父親自身も親移行の当事者であることを認識すること,そのうえでシステマティックな父親同士の交流の場の提供や,父親になる夫に対するクラス運営・立ちあい出産の導入が有用であることが示唆された。

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© 2015 日本助産学会
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