日本助産学会誌
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原著
日本語版母乳育児継続の自己効力感尺度(The Japanese-Breastfeeding Personal Efficacy Beliefs Inventory)の開発と信頼性・妥当性の検討
中田 かおり
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2015 年 29 巻 2 号 p. 262-271

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抄録

目 的
 「日本語版母乳育児継続の自己効力感尺度(Japanese-Breastfeeding Personal Efficacy Beliefs Inventory; J-BPEBI)」を開発し,信頼性・妥当性を検討した。
対象と方法
 原版は母乳育児を推進し女性の母乳育児の価値や信念を測定するために開発された22項目のVASである。本研究ではまず,2008年に開発された(旧)日本語版Breastfeeding Personal Efficacy Beliefs Inventoryの日本語の修正と5段階リッカートスケールへの変更を行いJ-BPEBIを作成した。その後,2~3歳の子どもの母親を対象に質問紙調査を行った。質問紙は578部配布し286部を回収,241名を分析対象とした。分析にはSPSSVer. 20を使用した。
結 果
 母乳育児継続期間は平均1年5か月(SD=9か月)であった。因子分析の結果,J-BPEBIは3因子構造となった。第1因子「母乳育児をより長く継続することをマネジメントする自信」,第2因子「社会的サポートや情報をマネジメントしながら母乳育児を継続する自信」,第3因子「様々な環境や状況をマネジメントしながら母乳育児を継続する自信」と命名した。J-BPEBIと一般性自己効力感との相関はなかったが,母乳育児継続期間との相関が認められた(r=.314, p=.000)。自己効力感に影響する「4つの情報源」のうち「成功体験」と「情動的喚起」との関連が認められた。全項目でのクロンバックα係数は.902であり,下位尺度の信頼性係数は.640~.916であった。
結 論
 J-BPEBIは22項目3因子構造の尺度であり,構成概念妥当性,併存妥当性が確保された。全項目での信頼性は高く,内部一貫性は確保された。J-BPEBIは母乳育児継続と母乳育児の自己効力感に関する概念を測定する尺度であることが示唆された。

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