抄録
目 的
継続した育児相談で,「母親の心の健康チェックシート」を用いた働きかけの対応を明らかにする。
対象と方法
参加した相談者は7名であり,2~3人の母親を受け持ち3回の家庭訪問を行った。母親は20名であり,子ども数は1人が90%,専業主婦が80%であった。子どもの年齢は1歳から2歳に成長する過程にあった。相談時に「母親の心の健康チェックシート(以下チェックシートとする)」を用いた。チェックシートは育児している母親の心理的な健康状態を知るために作成したもので,育児幸福感短縮版尺度13項目,育児ストレス短縮版尺度16項目で構成される。相談時の相談者の働きかけの対応の内容分析をした。加えて3回の相談時の働きかけの対応の変化について分析した。
結 果
3回の相談で共通していた働きかけの対応には,【母親の気持ちを受け止める】では,〈子育てで感じている気持ちを受けとめる〉,〈子どもに対する気持ちを受けとめる〉,〈子育てのサポートに対する気持ちを受けとめる〉があった。【母親に気づかせる】では,〈子育てが今のままで良いことに気づかせる〉,【母親を安心させる】では,〈子どもが成長過程にあることを伝える〉,〈他者の反応を伝え安心させる〉,【母親の考え方を認める】では,〈子育てに対する考え方を認める〉があった。また,2回目の育児相談では,〈妊娠による大変さを受けとめる〉,3回目の育児相談では,〈家族を大切に思う気持ちを受けとめる〉,〈周囲の人からほめられたときの気持ちを受けとめる〉,〈自分の将来を考えられていることがよいことであることに気づかせる〉の新たな働きかけの対応があった。
結 論
相談者の働きかけの対応は,母親の気持ちを受け止めることが全体の6割を占めており,重要な働きかけの対応となっていた。子どもが成長し,母親としての経験を積んでいくことにより,相談者は母親に気づかせ,考え方を認める働きかけの対応となっていた。また,母親を安心させる働きかけの対応が毎回行われていた。本研究により,チェックシートを用いて様々なことに気づかせる働きかけの対応が明らかになった。