日本助産学会誌
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原著
NICUにおける家族中心のケア(Family-Centered Care)実践と病棟の組織風土との関連
浅井 宏美
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2017 年 31 巻 2 号 p. 100-110

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抄録

目 的

本研究の目的は,新生児集中治療室(NICU)における,看護師の家族中心のケア(Family-Centered Care;以下FCC)の実践と,その実践に影響すると予測される個人属性や病棟の組織風土との関連を明らかにすることである。

方 法

43カ所の周産期母子医療センターNICUに所属する1700名の看護職を対象に,自記式質問紙調査を実施した。FCC実践尺度および病棟の組織風土尺度の探索的因子分析,看護師のFCC実践を従属変数とした重回帰分析を行った。

結 果

質問紙は計1700部配布し,回収率45.4%,有効回答764部を分析対象とした。対象者の平均年齢は32.6±8.4歳,平均臨床経験年数は9.9±8.1年であった。探索的因子分析の結果,FCC実践尺度は5因子構造,それぞれ第1因子【全般的な情報提供】,第2因子【親子の絆を育む支援】,第3因子【思いやりのある対応】,第4因子【敬意ある対応】,第5因子【子どもに関する具体的な情報提供】と命名した。病棟の組織風土尺度は5因子構造,それぞれ第1因子【看護師間の良好なチームワーク】,第2因子【看護師–医師間の良好なチームワーク】,第3因子【上司からの承認・サポート】,第4因子【ケアの方針決定への参加しやすさ】,第5因子【先輩からの承認・サポート】と命名した。重回帰分析の結果,FCC実践には,病棟の組織風土(β=.293, p<.001),職務充実感(β=.199, p<.001),臨床経験年数(β=.184, p<.001)がそれぞれ影響していた。

結 論

FCC実践尺度および組織風土尺度は,共に5因子構造で,尺度全体での信頼性は高く,看護職対象の継続教育等で活用できることが示唆された。また,FCCの実践には,個々の看護師の所属病棟の組織風土が最も影響しており,次いで職務充実感,臨床経験年数が影響していることが明らかになった。

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