日本助産学会誌
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原著
新生児期の皮膚トラブル実態とその関連要因
米澤 かおり春名 めぐみ松崎 政代
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2017 年 31 巻 2 号 p. 111-119

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抄録

目 的

新生児は皮膚トラブルが多く,育児不安の大きな原因となっているが,そのリスク要因は明らかでない。本研究では,新生児期に多い皮膚トラブル毎の発症割合と関連要因を明らかにすることを目的とした。

対象と方法

研究対象は生後1か月児325名で,自記式質問紙による観察研究(2012年5月~8月にデータ収集)とスキンケア介入研究(2014年3月~2015年3月にデータ収集)のデータを統合して用いた。生後1か月健診の際に,対象児の養育者に皮膚トラブルの有無と,その関連要因について自記式質問紙への回答を依頼,出生時の母児の状況を診療録より収集した。統計分析は,各皮膚トラブルの有無を従属変数とした,多重ロジスティック回帰分析を行った。

結 果

生後1か月の期間に何らかの皮膚トラブルがあった者は213名(65.5%),その内おむつ皮膚炎は109名(33.5%),脂漏性湿疹は105名(32.3%),汗疹は55名(16.9%)であった。

おむつ皮膚炎では排便回数の多い児(AOR=1.19,95%CI:1.09–1.30)や男児(AOR=1.70,95%CI:1.04–2.77)が,脂漏性湿疹では在胎日数が長い児(AOR=1.05,95%CI:1.02–1.08)が,汗疹は冬と比べて春(AOR=9.34,95%CI:1.17–74.90),夏(AOR=18.97,95%CI:2.44–147.44)という季節要因とともに,1か月健診までの1日あたり体重増加量が多い児で(AOR=1.03,95%CI:1.00–1.06)リスクが高いことが明らかになった。

結 論

児の背景によって,おむつ皮膚炎・脂漏性湿疹・汗疹それぞれの関連要因が明らかになった。今後,リスクに合わせた予防的なスキンケアを明らかにするとともに,個別性に応じた保健指導がなされることが望まれる。

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© 2017 日本助産学会
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