目 的
助産師が実践するいのちの教育における児童生徒の学びの内容を明らかにする。
対象と方法
X県においていのちの教育の運営を行っている教育行政機関および保健行政機関が保有している既に匿名化された助産師のいのちの教育後の児童生徒の感想文をデータとした。教育行政機関は小学生・中学生,保健行政機関は中学生のデータであった。分析はテキストマイニング技法を活用した。2機関の運営するいのちの教育の内容が異なっていたことより,機関別にデータの分析を行った。テキスト型データを処理し構成要素群を抽出した。構成要素のうち頻度5以上を対象にクラスター分析を行った。クラスターの構成要素からサンプル検索により,クラスターの意味を研究者間で検討した。教育内容を質的変数とし,クラスターと同時に布置し学びの特徴を分析した。
結 果
小学生の学びは,【赤ちゃんに触れて色々感じた】【愛情を受けて育った自分に気づく】【母親のお腹にいた自分を感じた】など7つのクラスターが抽出された。中学生の学びは,A教育行政機関では【自分の将来を考える】【赤ちゃんのアンビバレンスを感じる】【周囲の愛情を実感する】など6つのクラスター,B保健行政機関では【自分の将来を考える】【命の大切さに気づく】【愛情を受けて育った自分に気づく】など6つのクラスターがそれぞれ抽出された。教育内容とクラスタ―の布置図より,小学生においては乳児と触れ合う体験が最も学びに結びついていた。
結 論
助産師が実践するいのちの教育からの小学生の学びは,自分の命の大切さの実感が中心であった。中学生の学びは,自分のみならず他者を含めた命の大切さの実感と,自分の将来への思考が中心となっていた。