日本助産学会誌
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キネステティク・クラシック・ネオ体験学習後の更年期女性の動きの変容プロセス
赤嶺 唯島田 友子
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2022 年 36 巻 1 号 p. 147-160

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抄録

目 的

キネステティク・クラシック・ネオ(以下,クラシック・ネオとする)体験学習後の更年期女性の動きの変容プロセスを明らかにし,クラシック・ネオ体験学習の意義および更年期女性の健康支援に向けた課題について検討する。

対象と方法

キネステティクを体験したことのない更年期女性14名を対象に,クラシック・ネオ体験学習会を行い,体験学習直後および体験学習後1週間時点,体験学習後1ヵ月時点で,クラシック・ネオを体験して感じたことや気づいたこと,体験学習内容の実践状況などについて調査を行った。SCATの手法を用いて,クラシック・ネオ体験学習後1ヵ月の間に動きの変容について語りのあった12名のデータの分析を行った。

結 果

更年期女性は,クラシック・ネオ体験学習を通して,【動きの体験から得た安楽な体感の気づき】,【習慣的な動きに潜む身体的負担の気づき】,【動きのセルフケアによる身体的リスクの回避の気づき】などを得ていた。【加齢による変化に対する不安の払拭】や【安楽な動きの実践による効果の期待】から,【心身の状態に合わせた動きのセルフケアの実践意欲】を示し,体験学習後1週間時点では,全員が何らかの体験学習内容を実践していた。体験学習後1ヵ月時点では,半数の者が【良姿勢への改善に向けた動きの実践】や【からだへの負担が少ない動きの実践】を継続していた。しかし,残りの半数は,【時間経過に伴うさらなる学習内容の忘却感】や【習慣的な動きの変容の困難感】などの理由により,動きの実践頻度が減少していた。

結 論

クラシック・ネオ体験学習後の更年期女性は,“動き”の感覚に意識を向け,動きのセルフケアを一時的または継続的に実践していた。動きのセルフケアを学ぶことにより,更年期以降のQOLが高まる可能性が示唆される。更年期女性の健康支援に向けて,女性が継続して体験学習できる機会づくりが必要である。

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