日本助産学会誌
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総説
思春期女性における月経の心理・社会的問題に関するスコーピングレビュー
鈴木 瞳濵田 ひとみ大田 えりか
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2023 年 37 巻 2 号 p. 100-113

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抄録

目 的

本研究の目的は,思春期女性を対象とし,自身の月経にまつわる体験を通した心理・社会的課題に関する質的研究に焦点を当て,複数の国における文献のスコーピングレビューを行い,思春期の女性の初経・月経の体験の語りや言葉から抽出される潜在的な月経対処の心理・社会的課題を概観して整理し,明らかにすることである。

対象と方法

思春期女性を対象とし,月経に関する課題についての質的研究を,PubMed,医学中央雑誌WEB版(医中誌)を用い,2000年以降に出版された文献に限定し,2021年11月に検索を行った。採択された文献内で導き出された,カテゴリーやテーマとその生データを抽出し,各文献の解釈と生データを再度比較検討し,カテゴリー化を行なった(登録番号:UMIN000048385)。

結 果

再カテゴリー化した結果,4つのカテゴリーと14のサブカテゴリーに分類された。【個人レベルの課題】として,[身体的な変化による影響],[心理的な変化による影響],[月経に関する情報・教育へのアクセス],[月経に関する知識と認識]のサブカテゴリーが,【社会レベルの課題】では,[社会的偏見],[羞恥心],[タブーとされる月経],[社会生活の制限],[宗教的課題],[月経経験者の他者との交流]のサブカテゴリーが生成された。【家族レベルの課題】では,[母親との関係],[母親を含む家族・保護者との関係]のサブカテゴリーが,【物理的な課題】では,[生活基盤の脆弱さ],[プライバシーの欠如]のサブカテゴリーが生成された。

結 論

本研究の結果は,思春期女性の月経体験や月経の健康向上ために考慮すべき要素を理解するために役立つと考えられる。また,すべての女性に対して,正確な情報へのアクセスや適切な月経管理,月経を肯定的に捉えられるような心理的な支援,物理的なアクセスの確保の必要性が示唆された。

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