2025 年 39 巻 1 号 p. 126-138
目 的
米国で開発された35項目5因子構造のPaternal Involvement with Infants Scaleをもとに,日本語版乳児の父親の育児関与尺度(PIWIS-J)を作成し,その信頼性と妥当性を検証することを目的とした。
対象と方法
関西圏にある病院1施設と育児情報を提供するWebサイトで,2023年7–12月に乳児をもつ父親を対象に研究参加者を募集した。対象者に質問紙調査を行った後,一部の対象者には,信頼性検証のために2週間後にPIWIS-Jの再調査を行った。信頼性の検証では,級内相関係数(Intraclass Correlation Coefficient:ICC)とCronbach's α係数を算出した。構成概念妥当性を検証するために,探索的因子分析を行った。基準関連妥当性には,短縮版ソーシャルサポート尺度(Multidimensional Scale of Perceived Social Support:MSPSS短縮版),コペアレンティング関係尺度(Japanese version of the Coparenting Relationship Scale:CRS-J)を用い,PIWIS-Jとの相関係数を算出した。
結 果
分析対象は,妥当性検証177名,信頼性検証72名であった。探索的因子分析により,PIWIS-Jは29項目4因子構造であることが示された。尺度全体のICCは0.80,Cronbach's α係数は0.90であった。基準関連妥当性の検証の結果,PIWIS-JとMSPSS短縮版,CRS-Jとの相関係数は,それぞれ0.28,0.28であった。
結 論
乳児を養育する父親において,29項目4因子のPIWIS-Jの信頼性と妥当性が確認された。PIWIS-Jは,乳児の養育における父親の育児関与状況の調査のみならず,父親の育児関与が母親,乳児の健康状態に及ぼす影響を検討する際に有用であると期待される。