日本助産学会誌
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新潟県における地域助産師の活動の実態とアイデンティティに関する研究
諸橋 麻紀関島 香代子
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論文ID: JJAM-2020-0011

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抄録

目 的

近年少子化問題や施設で働く助産師の偏在や潜在の問題に対し,地域助産師への期待が高まっている。そこで地域助産師が多く活躍している新潟県助産師会全会員を対象に,地域助産師の活動の実態とアイデンティティを明らかにすることを目的とした。

対象と方法

新潟県助産師会会長の承認を得た後,同会事務局より全会員(223名)に調査票を送付,郵送で回収した。数的データは,記述統計量の算出,地域での経験年数別にχ2検定を行い,自由記載は質的記述的に分析した。

結 果

回収数127名(回収率56.9%)のうち地域で活動をしていた94名について検討した。年代は40・50・60歳代がそれぞれ3割を占め,活動は「訪問指導」80名85.1%,「母乳相談・乳房マッサージ」64名68.1%が多かった。「訪問指導」はやりがいがあり収入の中心で,それ以外の活動は収入が伴っていなかった。現在の状況が「地域」で「分娩介助をしていない」68名では「今後もやらない」が多かった(48名70.6%)。経験を積んでも研修会や講演会などへ参加し自己研鑽をしていた。自由記載(40名,126記載)から【生涯にわたり女性に寄り添い支援する親密な関わりであり,やりがいを感じる】【活動をするためには継続した自己研鑽が必要である】【生涯のキャリアプランとして地域助産師を続けたい】【収入が少なく,行政のサービスでは役割を発揮できない現状】【社会的地位や認知度が低い現状,もっと認知度を上げることが課題】を含む8つのカテゴリーに分類した。

結 論

地域助産師は主に「訪問指導」に時間をかけ収入を得てやりがいを感じ,「母乳相談・乳房マッサージ」など多様な活動に従事していた。「分娩介助」にこだわらず継続した自己研鑽を積み,女性の一生に寄り添い生涯地域で助産師を続けたいというキャリアプランを持っていた。しかし収入,社会的地位,認知度の低さを課題としていた。

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