日本助産学会誌
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新生児集中治療室における末梢静脈カテーテル使用に伴う合併症の発生割合とその関連要因,対策に関するスコーピングレビュー
山田 桃子米澤 かおり春名 めぐみ
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論文ID: JJAM-2024-0051

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抄録

目 的

本研究は新生児集中治療室における末梢静脈カテーテル(PIVC)を対象にスコーピングレビューを実施し,(1)PIVC使用に伴う合併症の発生割合,(2)PIVC合併症発生の関連要因,(3)PIVC合併症対策に関する知見を明らかにし,これらを網羅的に整理,把握することを目的とした。

方 法

検索エンジンPubMedを通じたMEDLINEのデータベース,CINAHL,医学中央雑誌を用いて2022年1月までに発表された文献の検索を行った。選択基準は,(1)新生児のPIVC合併症の発生割合が記載されている,(2)新生児のPIVC合併症の関連要因または予防方法が記載,(3)原著論文である観察研究,ランダム化比較試験,レビュー,症例報告,シンポジウム,会議録,ガイドライン,解説,総説,(4)英語または日本語で記載された論文とした。除外基準は,(1)新生児以外が対象,(2)PIVC以外のカテーテルが対象である論文とした。著者らがスクリーニングを行い,合併症の割合,関連要因,合併症対策に関連した内容を抽出した。

結 果

47件の論文が抽出された。PIVCの合併症の発生割合は,45.6~94.6%であり,浸潤が1.0~78.0%,血管外漏出2.4~84.0%,閉塞1.4~77.3%であった。合併症の関連要因は,在胎週数,体重,抗生剤の使用,高カロリー輸液の使用,カテーテル穿刺の合計試行回数,留置部位,薬剤の間欠または持続投与などがPIVC合併症と関連があると示されていた。PIVC合併症対策として,PIVC合併症発生時の対応のシミュレーショントレーニングやアルゴリズムの作成と導入を含む看護師教育とPIVC管理方法への介入が抽出された。

結 論

PIVC合併症の発生割合は高く,中でも浸潤・血管外漏出・閉塞が多く,解決すべき問題であるといえる。PIVC合併症の関連要因は,介入困難なものと,介入可能であるものがあることが分かった。PIVC合併症対策として,看護師教育の充実,管理方法への介入が重要である。

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