日本助産学会誌
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無痛分娩での助産ケアの認識と実践および関連要因の検討
鈴木 梓竹内 翔子篠原 枝里子中村 幸代
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論文ID: JJAM-2024-0054

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抄録

目 的

無痛分娩に携わる助産師を対象とし,無痛分娩での助産ケアに関する認識と実践状況を明らかにして,助産ケアの実践状況に影響を与える関連要因について分析することである。

対象と方法

全国の無痛分娩取扱施設に勤務する助産師927名を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施した。分析方法は,無痛分娩での助産ケアに関する認識については探索的因子分析を行い,助産ケアの実践状況については記述統計を用いて分析した。さらに,助産ケアの実践状況に影響を与える関連要因を探索するために,多重ロジスティック回帰分析を実施した。本研究は横浜市立大学の倫理審査委員会での承認を得て実施した(承認番号:一般2023-030)。

結 果

質問紙調査の有効回答数は447件(有効回答率:98.8%)であった。無痛分娩での助産ケアに関する認識の因子構造は,【無痛分娩での助産ケアに対する自己課題がある】,【無痛分娩についてより深く学び経験したい】,【無痛分娩を選択した妊婦の主体性を引き出したい】,【無痛分娩における妊娠期からの助産ケアの必要性を感じる】,【無痛分娩だからこそのニーズや支援がある】の5つで構成されていた。無痛分娩での助産ケアの実践状況は,全31項目中26項目で「実施あり」が80%以上に達し,特に分娩期ケアに関連する重要な項目が実践されていた。無痛分娩での助産ケアの実践状況と最も関連している要因は,認識_第5因子の因子得点【無痛分娩だからこそのニーズや支援がある】(OR:1.84,95%CI:1.33-2.55)であった。

結 論

無痛分娩での助産ケアの実践状況に最も影響を与える要因は,【無痛分娩だからこそのニーズや支援がある】という助産師の認識であった。この認識を高めるためには,無痛分娩に携わる助産師が無痛分娩特有のニーズに対する理解を深め,それに関連するケアを明確化することが必要である。

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