日本助産学会誌
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有床助産院の経営特性についての比較検討
全国有床助産院の実態調査より
宮崎 文子古田 祐子
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キーワード: 助産院, 経営, マネジメント
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1998 年 12 巻 1 号 p. 27-38

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抄録

本研究の目的は有床助産院の存続発展に寄与するために, 消費者 (妊産婦) に支持されている助産院 (年間分娩件数100件以上) に共通する要因を分析し, その経営特性を明らかにすることである. 対象は全国有床助産院長242名であり, 郵送調査とした. 有効数は180である. 分析は年間分娩件数を3群に区分し, 調査項目を比較検討した. その結果, 年間分娩件数50件未満に比し, 100件以上の有床助産院の経営特性として以下のことが明らかとなった.
1. 助産院長の属性: 平均年齢は分娩件数50件未満群に比し5.6歳若く, 62.0歳である. 開業動機は「自分の能力を発揮したい」が多く, 性格特性としては7割以上の助産院長が誠実, 友好性, 寛容性に富み, 共感性, 行為の洗練, 創造性の3項目に有意差が認められた. また経営行為は「チャレンジ・開拓型」, 経営行動は「経験重視型」「ひらめき即実行型」を示した.
2. 外部環境: 常設医療機器の充実, アメニティ環境への配慮, 積極的マーケティング活動 (特に, 学級活動, 講義・講演活動) が行われていた (p<0.01).
3. 内部組織: 職員構成は助産婦 (常勤・非常勤) 平均4.4名, その他の職員平均3.4名であり, 小規模組織で運営されているが, 後継者問題は深刻である.

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