抄録
助産師教育のあり方を探る一助として, 分娩介助場面における助産師学生の熟練助産師からの学びを明らかにする。
東京都内の総合病院分娩棟にて実習中の助産師学生4名を対象に, 分娩介助後に熟練助産師から学んだことについて自由に語ってもらった。面接の内容を逐語記録し, 学生の学びにかかわる内容を質的に分析した。
学生の学びを特徴づけるテーマ「自分をケアに活かす方法」が導き出された。このテーマは, 3つのサブテーマ, 1. 相手を尊重すること (「まず相手 (産婦) ありき」のかかわり,「その人 (産婦) なりの進歩をつかむ」かかわり), 2. 相手の能力を引き出すこと (「視点を転換させる」かかわり,「言葉の広さをとらえる」かかわり), 3. 相手に合わせること (「まず自分 (助産師) が落ち着く」かかわり,「相手の状況を読み, 自らの行為を調整する」かかわり) によって構成された。
助産師学生は, 個々の産婦の状況に適したケアを提供していく際に, 自分をケアに活かすことの重要性は理解できても, 実際にこれを行うことは必ずしも容易ではないことから, 学生の指導・教育にあたっては, 学生が熟練助産師から学んだ体験や内容を確認し, その重要性について学生の認識が深まるような支持・助言を行うことが大切であると考えられた。