日本助産学会誌
Online ISSN : 1882-4307
Print ISSN : 0917-6357
ISSN-L : 0917-6357
助産所における会陰裂傷の実態と分娩体験
中窪 優子三砂 ちづる
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 16 巻 2 号 p. 56-68

詳細
抄録

助産所における会陰裂傷の程度や予後などについて明らかにすることを目的に, 会陰裂傷の実態調査を行った。
1助産所において正常出産した褥婦71名に対して構成的質問票を用いて面接を行い, 会陰裂傷や分娩体験に関する質問を行った。
結果裂傷のあった女性は13名 (18.3%), 裂傷のなかった女性は58名 (81.7%) であった。裂傷のあった者は全例会陰裂傷I度で, 痺痛から回復する必要日数は平均4.8日 (1-10日) であった。また, 自分で「こういう姿勢で産みたい」と自己決定し, その姿勢で分娩した者は裂傷の発生が有意に少なかった。また, 有意差は認められなかったものの会陰の伸展を感じた者は裂傷発生の割合が少なかった。
今回, 医療介入されない助産所で発生した裂傷は軽度だった。また, 産婦が分娩体位を自己決定できるような環境の整備や, 産婦自身がからだの変化に気づくことができるようケア提供者が情緒的にサポートすること, さらに内的変化に気づくような援助をすることの重要性が示唆された。

著者関連情報
© 日本助産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top