日本助産学会誌
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分娩後期に出現する産婦の「眠気」実態調査
分娩進行に及ぼす影響について考える
山田 弥恵子加賀 智美菅沼 ひろ子
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1990 年 4 巻 1 号 p. 15-19

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抄録

分娩経過中の多くの産婦が, 分娩第I期後半から第II期にかけて眠気を訴える。また, 実際に陣痛間欠時には周囲に対する反応および意識が低下し全身の筋肉がリラックスしており, 眠っているような状態がよく観察される。
本研究はこの現象の実態を解明するために, 自作の判断基準によりこれを「眠気」と定義し, 196名の産婦を対象に調査を行った。
その結果, 全産婦の67%に「眠気」が認められた。この「眠気」は一日中どの時間帯にもみられ, 児娩出の約3時間前に出現し, およそ1時間持続する。「眠気」の消失後, 子宮頸管は全開大し速やかに分娩に至る傾向がみられる。
平均分娩所要時間は「眠気」があった産婦のほうが長い傾向にあり, また経産婦においては「眠気」のあった産婦に陣痛促進剤の使用頻度は有意に少なかった。

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