自然分娩において分娩第I期・第II期に体位を自由に過ごすことは, どのような身体的・情緒的影響があるのかを明らかにすることを目的に, 上半身を起こした体位で娩出期を過ごす方法 (自由形体位群59例) と, 仰臥位で娩出期を過ごす方法 (定位形体位群105例) とを比較した。
方法は, 助産録から分娩関連項目のデータを転記し統計学的に分析し, 情緒的側面については産褥2~6日目にアンケートを実施した。
その結果, 身体的には産歴別にみても, 出血量・分娩第1期および第III 期の所要時間・会陰裂傷 (第I度)・アプガースコア・新生児の体重には, 両群に差が認められなかった。一方, 初産婦においては, 自由形体位群のほうが, 定位形体位群に比べて, 分娩第II期および第I期から第III期までの所要時間が有意に短かった。
情緒的には, 重力に逆らわない, 自然な姿勢であるので, リラックスできて, 楽であるという満足体験が得られていた。
体位を自由にすることによる身体的・情緒的な悪影響は認められなかった。
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