2000 年 75 巻 5 号 p. 292-295
コミノヒメウツギはその和名とともに初島が Deutzia gracilis var. microcarpa として大分県植物誌 (1989) に暫定発表したものである. これは全体に星状毛が少なくヒメウツギに似るが, 花弁が小さく長さ 57 mm, 幅 1.82.1 (3.0) mm で, 雄蕊は花弁から超出するなどの特徴をもつ. 染色体数はヒメウツギと同様, 2n=26 の 2 倍体であるが, コミノヒメウツギはヒメウツギとは明らかに形態学的に異なるので, 独立の種として分類するのが適切である.種名は最初の発見者でもあり, 本種をはじめとする日本産ウツギ属の分類に多大な貢献をされた初島住彦教授に捧げる.