2003 年 78 巻 2 号 p. 81-85
1997年に行った雲南省・広西省の石灰岩地の現地調査により発見したテンナンショウ属の 2 種を記載した. A. lidaense は, 全体が小さく花序付属体が仏炎包より短いという点を除けば, A. prazeri (2n = 26) に最もよく似ている. また, A.laminatum とその近縁種 (2n = 24) にも似ているが、 仏炎苞の形や色と, 性転換後に両性花序となり雌花序をつけないという点で異なる. 染色体数に関しては A. laminatum とその近縁種を特徴づける 2n = 24 を共有することから, むしろ A. laminatum に近縁であると推定される. A. lihenganum は花序付属体が長く垂れ下がり, 多数の糸状の退化花をつけることから A. fimbriatum, A. victoriae と A. ornatum に似ている. A. fimbriatum と A. victoriae からは偽茎がなく, 地下茎が円筒状の根茎であること, A. ornatum からは花序が性転換後に両性となること, 葉身が 3 小葉に分裂することで区別される.