植物研究雑誌
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世界二番目の産地としての日本新産のビジョノコナユキゴケ(ホシゴケ科,地衣化子嚢菌)
大村嘉人A. Frisch
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2016 年 91 巻 2 号 p. 69-73

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抄録

地衣類ホシゴケ科のSporodophoronコナユキゴケ属(新称)に所属するS. primorskiense ビジョノコナユキゴケ(新称)が日本で初めて富山県美女平のブナ樹皮上で発見された.本種はロシア・プリモルスキー地方から採集されたタイプ標本1点のみが知られていただけであり,本報告は世界で二番目の産地である.それらの標本に基づく本種の特徴は以下の通りである.地衣体は樹皮に固着し,白色で突出し独立した分生子座sporodochia(幅0.25–0.50 mm × 高さ0.25 mmまで)を有する.その分生子(= 粉子)は0–2個の横隔壁があり,幅3.0–6.0 µm,各分生子がややジグザグ状に連なる.地衣成分として未同定物質(lepraric high unknown)を含む.タイプ標本との同一性はmtSSU塩基配列が一致することからも確かめられた.本種に関連する分生子座または粉霜で被われる粉子器を有するホシゴケ科の日本産種としてSporodophoron gossypinumコナユキゴケ(新称)(岩上生,地衣体に2ʹ-O-メチルペルラトリン酸を含む),分生子座を欠き粉霜に被われた粉子器を有するInodermaコナユキゴケモドキ属(新称)のInoderma byssaceumコナユキゴケモドキ(新称)(地衣体および粉子器はK−,レプラル酸を欠く)およびInoderma nipponicumヤマトコナユキゴケモドキ(新称)(地衣体および粉子器はK+レモン色,レプラル酸を含む)があり,それらの検索表も併せて示した.

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© 2016 植物研究雑誌編集委員会
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