植物研究雑誌
Online ISSN : 2436-6730
Print ISSN : 0022-2062
ISSN-L : 0022-2062
帰化植物バルカンノウルシ(トウダイグサ科)の国内の分布と生育状況
大井・東馬哲雄田中伸幸大西 亘黒沢高秀
著者情報
ジャーナル 認証あり

2021 年 96 巻 5 号 p. 297-303

詳細
抄録

バルカンノウルシEuphorbia oblongata Griseb.(トウダイグサ科)は,2018 年出版の『神奈川県植物誌2018』において,神奈川県内の市街地からの新しい帰化植物として報告された.本種は,南ヨーロッパや西アジアに自生する多年草で,英国,北米,オーストラリアなどに帰化し,園芸栽培からの逸出のようである.我々は,国内のバルカンノウルシについて,形態観察とDNA 同定を踏まえて,神奈川県だけではなく,茨城県,東京都,愛知県,和歌山県および岡山県の市街地において生育を確認した。また,高知県立牧野植物園と岡山市半田山植物園では,知らないうちに生育していることも確認した.国内でのバルカンノウルシは園芸逸出と考えられるが,現時点では生育場所は限定的である.

高知県立牧野植物園の株の標本を提供して頂いた稲垣典年氏,藤井聖子氏,岡山市半田山植物園の株の標本を提供して頂いた夏井操氏,栽培株からDNA 解析用の試料を提供して頂いた瀬戸剛氏,岡山県の情報を提供して頂いた岡本泰典氏,愛知県の情報と試料を提供して頂いた中村肇氏,名古屋市の情報を提供して頂いた児玉京子氏,豊橋市の情報を提供して頂いた藤井伸二氏,和歌山県の情報を提供して頂いた稗田真也氏,神奈川県の情報を提供して頂いた神奈川県立生命の星・地球博物館の勝山輝男氏,大阪府の情報を提供して頂いた田中光彦氏,標本閲覧にご対応頂いた倉敷市立自然史博物館の狩山俊悟氏には御礼申し上げます.また,本報告をまとめるにあたり,多大なるご協力を頂いた大阪市立自然史博物館の横川昌史氏には特に感謝申し上げます.本研究の一部は,国立科学博物館の総合研究「過去150 年の都市環境における生物相変遷に関する研究-皇居を中心とした都心での収集標本の解析-」により実施した.

著者関連情報
© 2021 植物研究雑誌編集委員会
前の記事 次の記事
feedback
Top