植物研究雑誌
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ミズバショウ(サトイモ科)の腋芽の成長による子苗形成
星 比呂志大橋 広好邑田 仁
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2022 年 97 巻 4 号 p. 228-231

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抄録

ミズバショウ属の地下茎の構造はRosendahl (1911)によって詳しく調べられており,2葉継軸仮軸成長により形成されることが正しく観察されている.しかし,その観察は北米産のアメリカミズバショウLysichiton americanus Hultén & H.St.John に基づいており,アジア産のミズバショウL. camtschatcensis (L.) Schott とは異なる可能性がある.また,2 葉継軸の第1 葉(下位の葉)の腋芽の 動向については不明としている.そこで本研究では日本産のミズバショウについて,特に不明とされていた腋芽の成長を確かめ,その腋芽が成長する際にまず節間が長いストロンを形成し,その先に主根茎と同様の子根茎をつくることを明らかにした.主根茎は地下20–30 cm の泥中にあり,しかも太い根に密に覆われているので,ストロンにより子根茎を主根茎から離して持ち上げることにより,その葉が空中に出て光合成を行うことを助けているものと考えられる.

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