2023 年 98 巻 3 号 p. 161-167
京都大学総合博物館 (KYO) に収蔵される未整理標本より,菊池秋雄博士らにより作製されたと考えられるナシ属やリンゴ属などの多数の腊葉標本を発見した.これらの標本の中には,菊池博士が中井猛之進博士と共同で研究していたイワテヤマナシ(ミチノクナシ)やアオナシなどの日本の自生ナシ属植物や,旧満州,朝鮮半島,中国の野生及び栽培の果樹,キュー植物園,アーノルド樹木園および米国南オレゴン農業試験場で栽培されたナシ属とリンゴ属の植物などがあり,菊池博士による果樹分類学や園芸学研究の資料となったと考えられる.また,一部の標本は,現在農業・食品産業技術総合研究機構の農業生物資源ジーンバンクで保存される遺伝資源の導入時の証拠標本と考えられる.