植物研究雑誌
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海産底生珪藻の形態と分類(13),タマスジケイソウ属(オビフネケイソウ科,フナガタケイソウ目)(第1部)
数野 渚鈴木 秀和 溝渕 綾半田 信司
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2023 年 98 巻 3 号 p. 124-133

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抄録

底生羽状珪藻タマスジケイソウ属(オビフネケイソウ科)のLuticola belawanensis Levkov & Metzeltinの生細胞と被殻微細構造を光学および電子顕微鏡を用いて観察し,詳細な殻微細構造とそれに基づく近縁種との形態学的相違点,そして新たに帯片に関する以下の形態学的特徴を明らかにした.半殻帯は最大4枚の帯片から構成され,いずれの帯片も片端開放型で,半殻帯の両端において開放端と閉鎖端が交互に重なる.第1帯片の接殻帯片は表出部に2列の胞紋列をもち,内接部縁辺には小円鋸歯をもつ.第2帯片から第4帯片も表出部に2列の胞紋列をもち,各帯片の開放端の反対側にある小舌は,上に重なる帯片の開放端を裏打ちする.本種は日本では沖縄から関東の広い範囲に分布し,特に河口の感潮域に生育すると考えられる.

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© 2023 植物研究雑誌編集委員会
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