2023 年 98 巻 3 号 p. 119-123
国立科学博物館植物標本庫(TNS)においてタイ類アミバゴケ科の標本を再検討した.その際に北海道大雪山国立公園の東ヌプカウシヌプリで採集された標本から日本新産種となるTetralophozia setiformis (Ehrh.) Schljakov (ハバヒロフサアイバゴケ,新称)を確認したので報告する.本種は,日本に分布しているT. filiformis (Steph.) Urmi(フサアイバゴケ)に似ているが,葉裂片は幅広い三角形で,裂片の縦の長さが幅の長さの2倍より短い点, 葉身細胞のトリゴンが不明瞭な点,発達した植物体では茎の幅が0.6 mm 以上となる点などにより区別される.