肥満(過体重含む)は心不全を含む循環器疾患の主要な危険因子である。一方で,心不全の臨床でみられる「肥満パラドックス」は,従来の体格指数などを用いた体重管理の限界を示唆している。このパラドックスは,高血圧・高血糖・脂質異常等といったメタボリックリスクファクターのない肥満でみられ,リスクファクターのある肥満ではその保護的効果は認められず,かえって予後が悪化する。また,サルコペニア・カヘキシアといった体組成異常の合併は,高齢心不全の新規発症や予後に関与する。心不全パンデミックを受け止める我が国において,心不全とその重症化を予防するため,体格指数に加え,性・年齢層に留意した体組成とメタボリックリスクファクターの有無に基づいた予防から臨床まで一貫した管理指針を確立することが不可欠といえる。本稿では,公衆衛生学的な立場から,管理指針の確立に資する知見として有用な研究を紹介する。