サルコペニアおよびフレイルは,高齢者の自立度や生命予後に深く関与する重要な老年症候群であり,その評価には歩行機能が中心的役割を果たす。特に歩行速度は,身体的フレイルの診断基準(J-CHS基準など)に組み込まれ,サルコペニア診断でも筋力・筋量と並ぶ主要評価指標とされている。通常歩行速度が1.0 m/秒未満であればフレイルリスクに該当し,歩行速度の低下は認知症リスク,要介護発生や死亡のリスク増大とも関連することが複数の研究により報告されている。また,歩行速度の他にも,歩幅やケイデンスなど複合的評価も,転倒リスクや活動制限の予測に有効とされる。フレイルの状態像を示す代表的な指標である歩行機能の低下は可逆的である。早期発見と運動介入を見据えた定期的な歩行評価は高齢者の健康寿命延伸に不可欠である。