1995 年 4 巻 3 号 p. 31-46
ダイナミックな企業環境の動きは,組織に変化を迫っている。この動きの中で,これまで企業の成長を支えてきた階層型組織を前提としたマネジメントコントロール(以下MC)も改めて考え直す時期にある。本論文では,MCを動機づけの視点から再考することで,新しい組織に適したMCのもつべき特徴を提示することを目的としている。
伝統的なMCは,トップとマネジャーという上下の縦の階層を前提として構築されてきた。トップから目標を与えられたマネジャーは,実績評価とそれに対応した報酬という仕組みによって,トップのねらった目標を達成する行動へと動機づけられる。対して,横の関係が強調されている新しい組織では,トップの目指す方向の中でのマネジャー自身の自発的行動と革新的行動が期待されている。
こうした特徴を,Deci(1975)の理論から考察したところ,伝統的なMCは「コントローリングな情報特性」を持っている.「コントローリングな情報」をフィードバックすると,ある結果を達成するには適しているが,創造的な仕事を自ら行おうとはしにくくなる。考察から新しい組織が求めている自発的で,革新的な行動をうながすためには,Deciのいう「インフォメーショナルな情報特性」を新しいMCがもつことであるという結論が得られた。